RCA(インターシル/ルネサス)のCDP1802、通称COSMACはレトロCPUの実物を動かしてみる趣味と相性がいいと思う。ガリレオに乗って木星へ行った実績があり、微妙に偏屈な仕様を備え、速度はともかく低消費電力を目指した点が個性的。すなわち、夢と壁と設計上の目標が揃っている。そりゃあやるよね。出来上がったのがこちら、SBC1802。

CDP1802はインテルのCPUを基準にすればプログラミングモデルが偏屈だがハードウェアはまあ普通。特に8085とよく似ていてメモリまわりはSBC8085のコピペで完成。32KバイトのROMとRAMをつなぐもっとも簡単な構成だからアドレスデコーダは74HC04の1素子しか使わない。残り5素子がもったいないのでステータス等のインジケータを付けた。

まだ消費電力がどのくらい低いかわからない段階で作った試作機がこちら。バスパワーで動くだろうとは思ったが、ぜんぜんダメだったときに備えてACアダプタがつながる。そしてもしギリギリでダメだったらインジケータを簡略化して消費電力を抑えようという魂胆。この配線は最終版に残してあるが、説明が面倒くさいから隠し機能ってことで。

ソフトウェアはRCA BASIC3。端末との通信速度を自動判別するためクロックは適当でいいやと思ったら一部のUSB-シリアル変換アダプタでうまくいかない。しかたなく1.79MHz指定、RCAの方針どおり速度より低消費電力を重視することになった。ASCIIARTの実行時間は45分48秒。遅い! んだけどクロックを2倍にしたところでやっぱりダンペコ。
はせりんさん集計のASCIIART(マンデルブロ集合)ベンチマーク
ソフトウェアは、狙ったわけではないが、The 1802 Membership Cardで配布しているバイナリのいくつかが使えると判明。yanatakaさんに教えてもらってEPROMにMCSMP20A.binを焼いたらBASIC3を含むモニタを起動することができた。ソフトウェアの勉強不足は認めよう。その分これから先もいろいろな発見があると思う。

SBC1802に関する技術的な資料とソフトウェアを下のリンクで公開する。プリント基板はスイッチサイエンスさんとオレンジピコショップさんで頒布している。
SBC1802技術資料-PDF直リンク
SBC1802データパック-ZIPダウンロード
プリント基板頒布元
スイッチサイエンス-SBC1802ルーズキット
オレンジピコショップ-SBC1802専用プリント基板
前回の投稿で述べたとおり、SBC1802の開発過程ではたくさんのかたにアドバイスをいただいた。まさか、リリースしたあともなおみなさんの力で機能が向上するとは思わなかった。ありがたい限り、といって気付いたのだが、過去の製作物でも多かれ少なかれボクのチョンボをみなさんに救ってもらってるよね、ごめんなさい、全部まとめてありがとう。