SBC6800ルーズキット

スイッチサイエンスさんのマーケットプレイスで「SBC6800ルーズキット」(550円+税)の販売を開始しましたのでお知らせします。商品のページはこちらです。
しばしば在庫を切らしてご不便お掛けしておりますことをお詫びいたします。全力で補充に努めております。必要としてくださるお客様がいる限り販売を継続いたしますので、今しばらくお待ちいただけますようお願いいたします

SBC6800はほとんどの人が実物に触れたことのないモトローラMC6800のシングルボードコンピュータです。最大の難関であるクロックをマイコンで生成し、(たぶん)世界最小のサイズにまとめました。SBC6800により、Mikbug、VTL、MicroBASIC1.3 など1970年代に流行したソフトウェアを操作することができます。完成後の外観を下に示します。

SBC6800

ルーズキットは1970年代のアメリカでアマチュアどうしの交流から生まれた組み立てキットの一形態です。プリント基板、技術資料、データパックを提供する一方、本体の部品、ACアダプタ、USB-シリアル変換ケーブルはご自身で用意していただく必要があります。ですから、SBC6800ルーズキットは、実質、下に示すプリント基板が1枚だけです。

sbc6800pcb

技術資料とデータパックは下に示すリンクからダウンロードしてください。技術資料では本体の部品の入手元も紹介しています。現時点で老舗の部品店に一定量の在庫があります。もしそれが売れ切れてしまったとしても、注文の手続きが少々ややこしいのですが、国内で大量に在庫し、個人向けに1個から即日出荷可能な部品店があります。

SBC6800技術資料
SBC6800データパック

SBC6800ルーズキットは歴史マニアやビンテージICコレクタの皆さんにネットで自慢できるようなコンピュータを完成させてもらうことが目的です。一般の方だと、頑張れば乗り越えられる程度の難関があります。あらかじめ技術資料をお読みの上、うまく作れそうな場合にご利用いただければ幸いです。

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モトローラ6800伝説

このブログは年1回だけ告知を認めてもらっていますが、ごめん、もう1回あと4回認めて。2017年12月20日、全国の書店で『モトローラ6800伝説』(出版社のページはこちら、Amazonのページはこちら)が発売されます。このブログで紹介した6800入手の経緯、6800を動かす過程をより丁寧に述べつつ、このブログでは紹介していない当時のエピソードを満載しています。よろしければ書店さんで手に取ってご覧ください。

モトローラ6800伝説

別窓でPDFを開く(1.2MB)

この本はお陰様でご好評をいただいております『インテル8080伝説』の姉妹書です。もし『インテル8080伝説』がコケていたらこの本は存在しませんでした。私にこの本を書く機会を与えてくださった皆様に心から感謝いたします。さらには、この本の発売予定を私さえ知らないうちからネットで話題にしていただき、もうひとつ次の本を書く機会を与えようとしてくださっている皆様に重ねてお礼申し上げます。

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バブルカセットをバラしてみた

1981年5月に発売された富士通のFM-8、その売りもののひとつがバブルカセットだった。この時代の話はけっこう知っている人がいて、バブルカセットに32Kバイトと128Kバイトがあったことを紹介してくれている。実際は、128Kバイトの発売がFM-8の現役の期間に間に合っていない。だけど128Kバイトを読み書きできるドライブはあった。このたび記念写真を撮影する機会があったので掲載しておく。

bbl_drive

バブルカセットの中身がどうなっているのかを知りたくて分解してみたが、ただバブルメモリが入っているだけ。バブルメモリは分解できなくて、もうこれ以上はわからない。それはそうと、バブルメモリのラベルに印刷されている暗号のようなものは何だろう。想像では不良部分を置き換えた記録のようだが、不良部分がこんなにあるものだろうか。

bblviewbblopen

バブルカセットは静かで速いとされている。静かなのは確かだが速いというほうは疑わしい。体感だとフロッピーディスクよりずっと遅い。音がしないから遅く感じるのかもしれないが、体感でけっこうな差があるから、測定してもそういう結果に落ち着くと思う。

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6809が動いた

6809で動く世界最小のコンピュータSBC6809が完成。6809はボクが生まれて初めて動かしたマイクロプロセッサで、これは通算2台め。富士山に登らなやつと2回登るやつはどうかしているといわれるが、SBC6809を作った目的は6800を習得した技術者が6809をどういう気持ちで捉えたのかを知ること。継承性を無視しているといわれるけれど、それはそうでもないと思う。SBC6809のプリント基板はSBC6800のプリント基板の設計がほぼそのまま使えて、いつも5回くらい作り直すのに、これは1回で成功した。

SBC6809

命令体系はバイナリ互換ではなくてニーモニック互換。原則、再アセンブルすればいい。その方法で、6800のために書いたテストプログラム、端末から入力した文字をエコーバックするだけのやつがするりと動いた。ただし、スタックポインタの動きかたが違うので、Mikbugは再アセンブルしてもだめだと思う。MicroBASICはどうだろうか。いろいろと妄想が膨らむが、その前に6800を極めようと思う。

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VTLが動いた

MITSのAltair680(とAltair680B)は256バイトのEPROM、1702のICソケットが4個あり、そのうちの1個にモニタが挿さっている。モニタを書いたのはポール・アレンとマーク・チェンバレン。マーク・チェンバレンの人となりは資料がなくて不明。ポール・アレンはビル・ゲイツと協力してBASICを完成させ、商談のためにMITSを訪問し、そのままMITSのソフトウェア担当ディレクタに収まっていた。その後、MITSが経営不振に陥ったことでビル・ゲイツとともにMicrosoftを創業したのだが、ああ、その話ではないのだった。

Altair680の3個のICソケットは総容量が768バイトしかなく、使い道がなくてしばらく空いたままになっていたが、1976年、コンピュータストアのゲイリー・シャノンとフランク・マッコイがぴったり768バイトのインタプリタ、VTLを完成させ、3個の1702に書き込んで発売した。MITSがこれを絶賛した結果、純正に準ずるオプションとなった。正式名称はVTL-2だが、VTL-1が表立って出回った形跡がないため、一般にただVTLと呼ばれる。

ファイルに書き出されたソースは出回っていないので、VTLのマニュアルに掲載されたソースを書き起こしてSBC6800で動かすことにした。自慢じゃないが、誰にでもできる簡単な作業ではない。正体不明のアセンブリ言語で書かれているし、行番号499にトリックがあって、どう書き起こしたらいいか判断が難しい。まあ、そこは何とかしたけどね。ちなみに、トリックのやり口は前回の投稿に頂いたコメントの返信で言及している。

VTL_trick_L

SBC6800でVTLを動かすにはモニタを移植するのが手っ取り早い。その場合、モニタのJコマンドで何ら手を加えていないVTLが起動する。しかし、当時の日本にAltair680がなかった関係でマニアはVTLを単独で動かすことに情熱を燃やしたらしい。同好の士にフンと鼻で笑われ(たように感じて)、癪に障ったので単独動作可能版を作った。やってみればどうということはない。移植したモニタからサブルーチンを3個、書き写しただけだ。

VTL_ROM

VTLは起動した直後、使ってもいいRAMの範囲を設定する。システム変数*に末尾のアドレスを代入し、同&に先頭のアドレスを代入する。これをやり忘れると必ず暴走する。最初にこの種の儀式を必要とするのは当時のプログラムにありがちなことであり、VTLの出来が悪いわけではない。マイクロソフトのBASICは時代が進んで16ビットパソコンに採用されてからでさえ、How many files(1-15)?と尋ねたものだ。

VTL_start

プログラムを入力する方法はBASICと同じ。コマンドやステートメントはぜんぜん違う。リストを表示するにはLISTではなく0を入力する。VTLの世界観を如実に物語るのは実行行を表すシステム変数#。#に1を代入すると先頭行から実行するのでRUNに相当。プログラムの中で行番号を代入すればGOTOのように分岐する。#に0を代入しても無視される。したがって条件式と行番号を掛け算してから代入することで、IF~GOTOにあたる条件分岐が成立する。

VTL_sample

VTLの文法は、まるで数学のように、少数の原則と多数の応用で成り立っている。ネットでは「小さいなりに貧弱」みたいなニュアンスで紹介されることが多いし、マイクロソフトのBASICを標準と考える人にはいんちき臭く感じるだろうが、ボクにはとても美しく見えるぞ。もしかして、とうとうボクも変人たちの仲間入りか。

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Mikbugが動いた

SBC6800でMikbugを動かした。Mikbugはモトローラが6830L7(ROM)に書き込んで提供したモニタ。モトローラのMEK6800D1やEXORciserやSWTPCのSWTPC6800などに採用されて実質的なOSあるいはBIOSの役割を果たした。これが動くと、そのもとでマイクロBASICなどが動く。1970年代のソフトウェアを再現するなら、これがないと始まらない。

mikbug

通例にしたがい端末に「HELLO, WORLD」を表示。プログラムは末尾にSWI($3F)を置いておけば、これがブレークポイントになる。Lコマンドでプログラムをロード。それから、MコマンドでMikbugの変数に直接、実行開始アドレスを書き込み、Gコマンドで実行。どこかでひとつ、つまらないミスをやらかしたらたちまち暴走する。スリル満点。

mikbug_hello

Mikbugのソースを見てみたいという人がいるかもしれないから、いちおうGithubのGistにアップしておく。その土台となるSBC6800のほうは、プログラムがちゃんと動くにもかかわらず、いまだプリント基板の修正を繰り返している。大筋に問題がないのにささいなことにこだわって何度も修正するやつは、組織だと嫌われ者だが、趣味だから問題がない。

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SBC6800の近況

6800で動く世界最小のシングルボードコンピュータSBC6800は、相変わらずプリント基板をいじっている状態。ROMを2732から27256まで取り付けられるようにした(2716は動作確認に失敗)ついでに、RAMも6116ASPと6264ASPを取り付けられるようにした。ピン数の少ないやつは尻揃え。6116ASPでMIKBUGとVTLが動いた。6264ASPだとMicroBASICが動く。まだ調整し切れていないので、これらの詳細は追って報告する。

SBC6800top4K

このプリント基板はseeedで製造。スイッチサイエンス経由だと3週間かかるところを何と10日で到着。たぶんウチが成田空港に近い(クルマで2時間)せいだと思う。価格は10枚4.9ドル。ただし送料が18ドル。釈然としないので手もとで温めていたMICOM85の改良版を合わせて注文。レジストは黒を指定。やってみたかったんだよね、これ。都合2点、価格が9.8ドルで送料が22ドル。まあ妥当なところか。

MICOM85PCB

MICOM85はインテルの8085と8755と8156の組み合わせ。この一式はプリント基板のパターンが美しく引けることで知られているが、黒のレジストだとぜんぜん見えない。パターンの引き回しがうまくいかなかったとき黒を指定するといい。今度、BeagleBone Blackをよく観察してみよう。

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