ブートの語源

パソコンを含む汎用コンピュータの起動処理を俗にブート、正式にはブートストラップという。起動処理がブートストラップ(靴のかかとのツマミ)と呼ばれる理由は、1970年代からコンピュータにかかわっている人にはよく知られた話だから知ったかぶって説明するのもどうかと思い、間違った説明をしているホームページがあっても見なかったことにしている。が、このところの多さは目に余る。あるニュースサイトの間違った説明がリツイートされ、拡散しているらしい。だからここで事実を確認しておく。

汎用コンピュータが動作するにはメモリにプログラムが存在しなければならない。その状態へもっていくには、メモリにプログラムを読み込むプログラムが存在しなければならない。その状態へもっていくには・・、という堂々巡りを『ほら吹き男爵の冒険』に書かれたホラになぞらえた。そのホラは、ボクがきいた話では、「沼の水面を歩くため沈みそうになる右足をブートストラップで引っ張り上げ、それで沈みそうになる左足をブートストラップで引っ張り上げ・・」というもの。

つっこまれる前にいっておく。上記のホラは『ほら吹き男爵の冒険』の初版だと髪を引っ張り上げて底なし沼から脱出したことになっている。ブートストラップのホラは後の版で誤訳または意図的に書き換えられたもの。ボクがきいたのと別の版では靴紐を引っ張り上げて底なし沼から脱出したことになっていて、それが語源という説も間違いとはいわない。重要なのは『ほら吹き男爵の冒険』に由来するということ。それ以外の「長靴で馬を蹴って走らせるから」とか「靴紐を編み上げるような段階を踏むから」とか「長靴を履くように強引に引っ張り上げるから」などは誰かのホラ。

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